うしこlog
公開: 2023/04/06

ラズベリーパイPico Wの消費電力

今回の内容

 ラズベリーパイPico W(ラズパイPico W)は、MicroPythonと呼ばれるマイコン用Pythonで開発できるマイコンです。ラズパイよりもさらに小型であり、GPIOにセンサやLEDなどの電子部品を接続して制御できます。 PicoWが乾電池でどの程度の駆動するのか知りたかったため、消費電力を調査してみました。


[目次]

何もしない時の消費電力

 ループ内で1秒スリープするだけで何も処理をしない時の消費電流を調べます。

import time
while True:
    time.sleep(1)

 上記プログラムを書き込んでから、ブレッドボード上でpicoWに対して電圧5Vを供給した時の電流を測定します。

何もしない時のラズパイPico Wのテスト回路
何もしない時のテスト回路

 5Vで18.06mA前後でした。何もしない時のpico Wの消費電力は、約0.09Wのようです。
また、公式サイトには起動時は最大200mAと書いてあったので、起動時のpico Wの消費電力は最大1Wです。

何もしない時のラズパイPico W消費電流
何もしない時の消費電流

オンボードLED消灯時の消費電力

 明示的にpico Wに付属のオンボードLEDを消灯させた時の消費電流を調べます。

from machine import Pin 
import time

led = Pin('LED', Pin.OUT)
led.value(0)               # LED OFF

while True:
    time.sleep(1)

 上記プログラムを書き込み、先程と同様にブレッドボード上でpicoWに対して電圧5Vを供給した時の電流を測定します。

LED off時のラズパイPico Wのテスト回路
LED off時のテスト回路

 5Vで30.05mAとなりました。オンボードLEDをオフにしただけですが、何もしない時と比べて約12mA増加しました。
LEDオフ時のpico Wの消費電力は、約0.15Wのようです。
では、LEDをオンにするとどうなるか実験してみます。

LED off時のラズパイPico W消費電流
LED off時の消費電流

オンボードLED点灯時の消費電力

 pico Wに付属のオンボードLEDを点灯させた時の消費電流を調べます。

from machine import Pin 
import time

led = Pin('LED', Pin.OUT)
led.value(1)               # LED ON

while True:
    time.sleep(1)

 上記プログラムを書き込み、先程と同様にpicoWに対して電圧5Vを供給した時の電流を測定します。

LED on時のラズパイPico Wのテスト回路
LED on時のテスト回路

 5Vで32.62mAとなりました。オンボードLEDオフ時に比べて約2mAだけ増加しました。
LEDオン時のpico Wの消費電力は、約0.16Wのようです。

LED on時のラズパイPico W消費電流
LED on時の消費電流

WiFi接続時の消費電力

 WiFi接続時の消費電流を調べます。

 前回紹介したサーバプログラムを書き込み、先程と同様にブレッドボード上でpicoWに対して電圧5Vを供給した時の電流を測定します。

 手持ちのテスターで計測できた最大値は、5Vで380.8mAとなりました。一瞬上がって下がる動きだったので、もしかしたら400mA以上消費しているのかもしれません。
WiFi接続時のpico Wの最大消費電力は、不正確ではありますが約2Wのようです。

WiFi接続時のラズパイPico W消費電流
WiFi接続時の消費電流

サーバ稼働時の消費電力

 サーバ稼働時の消費電流を調べます。 具体的には、サーバのhttpリクエスト受信待ち(アイドル時)、[Pico WのIPアドレス]/led/offへアクセスしてオンボードLEDを消灯させた時、[Pico WのIPアドレス]/led/onへアクセスしてオンボードLEDを点灯させた時の3パターンについて最大電流を計測します。

 前回紹介したサーバプログラムを書き込み、先程と同様にブレッドボード上でpicoWに対して電圧5Vを供給した時の電流を測定します。

 計測できたアイドル時の最大電流は40.4mA、led/offへのアクセス時の最大電流は62.7mA、led/onへの最大電流は76.0mAとなりました。 アクセス時は一瞬上がって下がる動きをしたので、計測値以上の電流を消費しているのかもしれません。
また、アクセス後はアイドル時の40mA付近に戻るので、アクセス頻度が少なければ消費電力も下がりそうです。(ただし、一瞬電流が上がる原因がアクセス負荷なのか、LED制御負荷なのかといった検証までは今回しませんでした。)

 上記よりサーバ稼働の消費電力は下記の通りになります。

  • アイドル時の消費電力は約0.2W
  • URL(led/off)への消費電力は約0.31W
  • URL(led/on)への消費電力は約0.38W
サーバ稼働時のラズパイPico W消費電流
サーバ稼働時の消費電流

 まとめると、WiFi接続時が2Wと一番消費電力が多く、サーバ稼働時は0.2~0.4Wとなることが分かりました。
検証はしてませんが、WiFiの断接続がなければサーバ運用を想定しても乾電池3本で30時間くらいは駆動しそうです。 また、サーバではなくセンサ情報を送信するクライアントであれば常にWiFiに接続する必要がないため、より長く駆動できますね。

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